男と女の義理

「義理」という言葉を久しぶりに思い出した。
3年以上前のことだが、私の友人A男と大阪でその友人のB子さんと
3人で飲んだことがあった。
ぼくはB子さんとは初対面だった。
東京に戻ってまたしばらくして、A男から
「B子さんから紹介されたC子さんと知り合った。
一度、飲みに行くか?」との連絡を受けたので、
C子さんとA男の三人で、今度は東京で飲んだ。
まあ、そうやって友だちを増やしていくのである。
で、しばらくしてぼくの別の友人に彼女を紹介しようと、
飲み会に誘ったが、あいにくC子さんの都合がつかなかった。
それからまたしばらくして、A男から
「C子から飲みに行かないかと誘いがあった。
自分の都合が悪くなったから、お前が行ってくれ」と言われた。
「あれ、この前おれが誘ったのに、おれには話がこなかったけどな」
と思った次の瞬間、「A男をまず立てたのだな」と理解できた。
実際にC子さんに会ったとき、その点を問うてみると、
「B子から最初に紹介されたのがA男さんなので……」
ということであった。
C子さんの選択はまったく正しいと思った。
A男を飛ばしてぼくに飲み会の話をすれば、
「おれをないがしろにして、そっちにいったの?」と
A男はいやな気持ちになる。
C子さんはそういうことも考えたのだろうと思った。
もちろん、「A男と飲んでいるほうがたのしいから」という理由だったの
かもしれないのだが……。
ともかく、こういうことを自然に、さりげなくできる人は珍しい。
自分のことしか考えていない人が多いだけに、
周りに配慮できる、人の気持ちのわかる人がいることが新鮮だった。
自分もできれば大仰な「義理」でなくてもいいから、
押し付けがましくないやり方で、
自然な配慮ができるようになりたいものです。