意表をつく商売①

そんなことをやっていいのか。
そういう商売が世の中にはある。
いまインスタントラーメンを出す店があるらしいですね。
客は店の壁一面に並んだ「メニュー」を指差して注文。
一杯300円ぐらいでつくってくれる。
原価は50円ぐらいだろうから、やっていけるのかもしれない。
かなり意表をつく商売である。
頑固さとは無縁の感じがよい。
投げやりな感じがよい。
ただし、まだ食べに行ったことはないが。
そんな商売がアリなら、こういうのはどうか。
森の中の小さなカフェ――
ウッドデッキの軒先から店に入ると猫がお出迎え――
「いらっしゃいませ」と口ひげをたくわえ、
白髪の初老の男性(オーナー)が出てくる――
メニューは……
世界中からオーナーが買い付けてきた……
インスタントコーヒー!
がずらりと並ぶ。
そう、インスタントコーヒーを出すカフェである。
「ボトルキープ」なんかできたりしてね。
「あの店なら俺のボトルがあるはずだから、飲んでいいよ」とかね。
好きなインスタントコーヒーを混ぜて
ブレンドコーヒー」もつくりたい放題。
ミルクは「褐色の恋人」ではなく、必ず「牛乳」ね。
必ず1リットルの紙パックで出す。
砂糖は必ず1キロ単位で売ってるやつ。
輪ゴムで口をしばってあるやつね。
あくまでも「チープ」にこだわるのである。
チープはこだわるもんじゃない?
それをいっちゃあおしまいですよ。