映画「恐怖の報酬」の恐怖

『恐怖の報酬』 movie

1952年の仏映画。
この時代の雰囲気ってすごく好き。嫌いな雰囲気は80年代の米映画。
それはさておき、この映画のストーリーをかいつまんで説明すると、
遠く離れた油田で火災が発生し、消火のためにニトログリセリン
必要になるのだが、そのニトロを2000ドルの報酬で
現地までトラックで運ばなければならない4人の男の話です。
ニトロはものすごく爆発しやすいものなんですってね。
ちょっとでも衝撃を与えるとすぐにトラックもろとも
吹き飛んでしまう。
つまり、「恐怖の報酬」っていうのは、「報酬」が恐怖なのではなく、
「恐怖の対価としての報酬」という意味なのです。
そういう恐怖をうまく表現していて、かなりよくできた映画です。
手に汗握るとはこのことで、かなりこっちまで緊張してきます。
この映画では枷がうまく設定されていた。
つまり、なぜトラック運転手たちが2000ドルの報酬を
得たかったか。
舞台は南米のある国で、そこは欧州から流れてやってきた
人たちの吹き溜まりになっていたんです。
そこで、彼らはいつかは祖国に帰りたいと願います。
そして、人生をやり直すのだと。
2000ドルさえあれば、祖国に帰ってやり直せる。
ニトロを運ぶのは、一世一代の男たちの賭けなわけです。
途中、いくつも困難が立ちはだかるけれど、4人のドライバーたちが
知恵を絞って解決していく。
なんでそこまでやるかというと、祖国に帰りたいからなんですよね。
そこまで命かけても祖国に帰りたいんだな、人生をやり直したいんだな
というのが伝わってくる。
登場人物のそういう思いが丹念に描かれていないと、どんなに爆破しても
どんなに銃を打っても、なんもおもしろくないんですね。
それぞれのキャラクターも個性が際立っているし、
なかなかの佳作でした。