遅ればせながら初詣

15日だったか、初春の冷たい雨粒が落ちてくるなか、
私は自宅からほど近い、大國魂(おおくにたま)神社へ
遅い初詣にたった1人で出かけた。
雨の神社というのは、殺人事件でも起こりそうな、不気味な雰囲気を
醸し出しているものだが、ここはいつ行っても人が多いので、
不気味と言うよりは、神秘的な雰囲気を漂わせている。
参道を進み、賽銭箱の前へ。
神様も困ってしまうだろうほどのたくさんの重大な祈願をしたあと、
賽銭箱の端に置いてあるおみくじ箱を見つけた。
赤いポストのような金属製の箱の中に穴が二つ開いている。
1つはおみくじ代の100円を投入する穴、
1つはおみくじ本体が入っている穴だった。
私はおみくじ代の100円を投入し、その下にあるおみくじ穴から
おみくじの紙を選びとった。
結果は「大吉」だった。
ここのおみくじは何度か引いているが、吉以上しか引いたことがない。
でも、内容は戒めるような、教育的配慮がなされているような
ことしか書いていない。
今回は、大吉と書かれた下に、次のように書かれてあった。
おのが身は かへりみずして人のため
盡(つく)すぞ人の 務なりける

現代語に直すと、次のようになる。
自分の身は どうなろうと人のために
つくすことが人間の つとめである

大吉とこのコメントがどう関係するのかよくわからないが、
おみくじというのは、ただの運試しや占いなどではなく、
神仏からのお告げ、励ましだという。
「大吉」よりも中に何が書かれているかのほうが大切なのだ。
人のために何かしようと考えてはいても、
「自分の身がどうなろうと」とまで考える人は少ない。
でも、そういう考えの人が増えれば、世の中はきっと明るくなるだろう。