「苦しみの二次災害」

本が完成して、著者や編集者と語らう時間が好きなんですね。
そんなんで、先日も著者と編集者と昼食どきにお会いした。
いろいろ話したんですが、2人とも女性だったため、
女性的な性質について話していた。
どんなときにムカっと来るかというのは、女性ならではの
ものがあるというんです。さらに、ムカッと来たときに、
その場でももちろん腹が立つんですが、後で思い返して
また腹が立つんだそうです。
嫌なことを言われて落ち込んだときもそうらしい。
これをその著者さんは「苦しみの二次災害」と表現してしました。
へぇ〜と思って聞いているが、今まで人間関係のあった女性のことを
思い出してみて、たしかにそうかもしれないと思った。
男は「なんでまたわざわざ思い出して苦しむわけ?」って思う。
もうすっぱり忘れて、違うことをすればいいじゃないかと。
「苦しみの二次災害」っていうのは、おもしろい表現です。
なぜなんでしょうね、ぼくは男性なのでよくわからない。
男は、というか、少なくともぼくの場合は、嫌なことがあっても
眠ったら忘れるというか、覚えていられない。
大事なことも覚えていられないが、ネガティブなことはさらに
覚えていられないんです。
批判があって、それが的を射ている内容なら心に留めて改善しようと
思いますが、それ以外のことはあまり深く考えない。
「苦しみの二次災害」で自分を痛めつけることはないと思うからです。
あとね、こういうことも言ってましたね。
「女には〝文句を言う〟というたのしみ方がある」と。
その女性が言っていたのは、旦那さんと一緒にテレビドラマを見ている
とき、彼女が文句を言いながら見ていると、旦那さんが、その文句は
的外れだとか、別にそれでもいいじゃないかとか言うものだから、
口げんかになってしまうのだという。
男はそういうときこう思う。「だったら見なきゃいいじゃん」と。
でも女性にはそういうたのしみ方があるんです。
文句を言って嫌な気分になっているのではない。
逆に溜飲を下げているわけですよ。
そういう個々の違いを、一つひとつコミュニケーションで
確かめていく過程が結婚生活だとも言える。
ここでは話を単純にするために、男とは、女とは、と言っているが、
それぞれのたのしみ方があるのは、男女に限ったことではない。
ただ、「この人はこういう楽しみ方をしてるのね」とか、
「この人はこういうことで怒るのね」ということをわかっておくことが、
その人を理解するということであり、余計ないさかいを減らすことで
あり、そのいさかいで心をすり減らすのを回避する方法と言える。