映画『八月のクリスマス』の主人公に思うこと

山崎まさよし氏がリメイクするということと、
あるバーのマスターが勧めてくれたので観る気になった。
以下、ネタバレがあります。
「不治の病の男がある女性と真夏におりなす恋愛物語」である。
この主人公の男性、自分がもう死ぬんだってこと
わかっているんですね。
普段はニコニコしているのだけど、酒を飲んだときとか
雷が鳴る嵐の夜には、自分の感情を押し込められなくなる。
そういうとこがこの映画のリアルなところなんですね。
毎日、ニコニコしている人ほど内側に闇を持っている。
これは誰でも思いつく人がいるんじゃないでしょうか。
そして、死ぬ間際まで淡々とその準備をする。
正直、人間そこまで自分の死を受け入れて、自暴自棄に
ならずに過ごせるものかと思う。
そういうところにたぶん彼女はホレたんだろな。
彼の死を知っていなくてもわかるんだろな。
病気の5段階は、①否認 ②怒り ③取引 ④抑うつ ⑤受容
であるという。彼の病気はたぶん長いものだったのだろう。
彼の病院での振舞いや、薬の扱い方からそれが見て取れる。
だからすでに⑤受容の段階で、最期も近いとわかっていた。
だからこそ彼女に、自分は結婚していて二人の子持ちだと
言ったり、病気のことも告げずに逝ってしまう。
悲しませたくないというのが、彼の、彼女への
愛情表現だったとみることができる。
彼女に自分の病気を告げるという愛情表現の仕方もあったろう。
それをしなかったのが彼の個性ということなのかもしれない。
山崎まさよし氏主演のほうも期待です。