「私の恋愛は失敗ばっかりだ」

「私の恋愛は失敗ばっかりだ」という人がいる。
この人が言う「失敗」を、「結婚にいたらなかった恋愛」
と仮定すると、「失敗ばかり」になるのは当然だ。
よく考えてみて欲しい。
もう結婚してしまった人は、「恋愛は失敗ばかりだ」とは
言わない。というか、言うはずがない。
たとえば、路線バスに乗ることを考えてみよう。
反対車線のバスばかりが通過して、自分の待っている車線の
方面のバスがなかなか来ないと、愚痴を言う。
これは当たり前のことなのだ。
自分がバスに乗ってしまったら、反対車線のバスが通過するのを
見ることはできない。乗れないイライラのため、
「自分の待っている車線のバスがなかなか来ない」
という印象が強められてしまう。
これが急いでいるときは、もっと印象が強められる。
バスに乗ることを結婚に置き換えてみよう。
そして、反対車線のバスに乗っている人を
「既に結婚した周囲の人」に置き換えてみよう。
すると、「私の恋愛は失敗ばかりだ」と嘆くのは、
「自分の待っている車線のバスがなかなか来ない」
と同じレベルだということがわかるはずだ。
急いでいると、よけいうらやみとイライラは倍増する。
結婚していないから次の恋愛ができるのであり、
結婚してしまえば恋愛に失敗することさえできない。
バスに乗ってしまえば、バスに乗り遅れることはもはやできない。
同じように、「あの人は結婚できていいなあ」とうらやむのも、
「反対車線の人はバスに乗れていいなあ」と
同じレベルだということになる。
すでにバスに乗ってしまった人は、後からくるバスに
乗ることはできない。
繰り返すが、結婚したら恋愛に失敗することもできないのだ。
人は、バスに乗れないと焦り、バスに乗ったら乗ったで、
「もうちょっと後のバスに乗るべきだった」と言う。
とても身勝手で、傲慢で、わがままで、欲望の塊のような存在だ。
自分がそういう生き物なのだということをわかっていると、
少しは肩の力が抜けるのではないだろうか。