「うちのカミさんがね」

「うちのカミさんがね」
刑事コロンボが相手を油断させるときに決まって使う常套句だ。
うちのカミさんの話をするときに、あえてマヌケな話をする
ことで、親近感を持たせて、ポロっと新証言が出てくるように
誘導するわけですな。
日本でも同じような使われ方をしている。日本人は自分の配偶者を
手放しで褒めることが少ないので、照れを含めて妻を「カミさん」
と言い、グチをこぼすことで相手の共感を得ようということのようだ。
英語のハズバンドやワイフに当たる言葉はいくつかある。
夫―妻、旦那さん―奥さん、主人―家内、うちの人―うちのやつ
子供が生まれると、夫婦はお互いのことを「おとうさん」「おかあさん」
と呼び、実の親を「じいちゃん」「ばあちゃん」などと、
自分の子供の立場で呼ぶ。
たまに、中年男性は「うちのかあちゃん」と言うが、これは
だいたい自分の妻を指しているのであって、こう言う人は親を
「親父」「お袋」と呼ぶ。
「親父」「お袋」については、男の人の言い方なので、女性が
ちょっとくだけて両親を呼ぶときにはこのような言い方はない。
結婚した30代前後の夫婦を見ていると、だいたい男の人は妻を
「嫁さん」「奥さん」「妻」の順に呼ぶのが多くて、
女の人は「夫」「旦那さん」「主人」の順に多いように思う。
自分の配偶者を他人にどう言うかについては、
人それぞれ違っていて、それが彼らの配偶者に対する扱いと、
彼ら自身の「照れ度」が見て取れるのでおもしろい。
細かくみていくと、いくらでも分析できるが、
いまはあんまし時間がないので、やめておく。
で、自分だったらどう呼ぶかな、と考えてみた。
ぼくだったら、じいさんになっても妻で行きたいと思う。
夫婦共働きが当たり前の時代に、「奥さん」「家内」は
ないだろうと思うからだ。
「うちのやつ」というのも乱暴だし、「うちのカミさん」というと、
恐妻家という感じがしていやなのですよ。
大穴で「ワイフ」というのはどうだろうか。
けっこういけるかしんないな。