「夫婦も若いうちから」が大事

定年になった夫と毎日、顔を突き合わせているのが
苦痛という妻の苦情はよく効く。
曰く、家のことを何もしない、一日中ずっと家にいる
といったようなことだ。
これたぶん、若いころの習慣がそうだったからなんだろうなあ
と思って、半ば夫の側に同情的に見ている。
若いころ、何も家のことをしなかったのに、
いまさらやろうと思えるようになるわけがない。
土日も仕事以外のつながりで友人に会うこともない
という人は、定年後こうなって当たり前。
でも、男だって好きでこうなったんじゃないと思う。
妻のほうにも原因はあるだろう。
今の定年夫婦の妻のほうは、昭和の良妻賢母型の妻・母として
生きてきたから、女は家を守るものという意識が強い。
だから若いころから、旦那には家のことを何もさせなかった
のだと思う。旦那に家事をさせると、
「あそこは休日まで旦那に働かせている」といわれたし、
家のこといっさいを取り仕切っているプライドもあっただろう。
家で家事をやられると、「プレッシャーを感じる」という
若い妻はいまでも多いのだ。
また、子どもが幼いうちは、夫は夜、あまり大っぴらに飲みに
いくこともできない。仕事関係なら、仕事にかこつけて
飲みにいくことはできるが、それ以外の集まりにはなかなか
出ていかないのだ。
私の大学の同期にも、いくら呼んでも「嫁さんが…」といって
出てこないのがいた。こういう人にはこっちも声をかけずらくなる。
こうなると、仕事以外の人間関係は断たれていき、
仕事を辞めると、男は孤立してしまうのだ。
これから結婚しようとする夫婦は、
妻は夫に家事をいっぱいやらせ、
そのかわり夫が仕事以外の人間関係を持てるように外に出させてやり、
夫は外に飲みに行かせてもらうかわりに家事をたくさんすることだ。
若いころにこれをやっていないと、定年になってからやるのは難しい。
若いころの積み重ねが年をとってから出る。
私はまだ中年に片足をつっこんだくらいの年齢だが、
そんなことも先々を見通して生活していきたいものだ。