まっとうな価格で 

日本の小売業者、特に飲食店は高い値付けをすることに

抵抗感があるのだろうか。

書籍の企画でパン屋さんを取材しているが、

40代以上の人にはそういう感じがあるらしい。

値段などというものは、価値に対して見合っているかどうかで

あって、客が見合っていると思ったら買うし、

そうでなければ買わないだけの話。

買ってくれる人がいて、商売としてなりたっていればいい。

売れないのは客が思う価値と値段が見合っていないからだ。

その場合、値段を安くするか、品質を上げるしかない。

問題はもっと高く売れるのに、「客に悪いから」という理由で、

値段を安くしてしまっている場合だ。

もっと高く売れるのに、安くしているケースは多いのではないか。

小規模店の場合、コストメリットで儲けることはできないのだから、

値段を高くし、それ以外のところで価値を生み出すしかない。

飲食店の場合なら、個人店とチェーン店の場合。

個人店は品ぞろえと価格では大手チェーンには勝てない。

だから別の土俵で勝負する。

大盛りの融通が利くとか、店主との会話とかだ。

そういうところで価値をつくって価格が高いのを補っていく。

客に悪いなどといわずちゃんと利益をとっていいと思う。

それで店主が疲弊してしまっては、モノづくりの質が落ちて

客にも不利益なのだから。