背負って歩く 

東日本大震災の被災地へは2011年に2度、訪れた。

一度目は釜石に。

日頃の防災訓練の成果で多くの人の命が助かったことを

ありのままに伝える記事を書いた。

二度目は福島に。

被災地で奮闘する自衛隊の若者に、その仕事ぶりと志を

聞いてまわって記事にした。

その後、5年経って、宮城県のお坊さんの本をつくった。

そのお坊さんの言葉で忘れられないものがある。

 

 

「肉親とか配偶者、恋人、友達…近しい人を亡くした人が

悲しみを乗り越えることなんてねえんだ。

これからもそれを背負って歩く。

みんなその歩き方を今も学んでいるのさ」

 

 

乗り越えなくても背負って歩けばいいんだよ、

それでも前に進める歩き方があるんだ

そういうことを言ってくれた。

加えてこうも言ってくれた。

「地域のお祭りで、PTAの集まりで、近所の井戸端会議で

語らうことで自然にお互いに心のケアをし合っているんだ」

人とつながって話をしたら、背負って歩くその歩き方を

学べるかもしれない。