乗り越えなくてもよい

私たちは困難に直面したときに、なんとか乗り越え、
克服しようとする。
それが人生においてやるべきことだと思っている。
いろいろな困難があるが、乗り越え、克服しないものもある。
被災地に赴いて、肉親を亡くした人の声に耳を傾けてきた
老師はこう言っていた。
「克服しなくてもよい、悲しみを背負って歩いていく、
その歩き方を身に着ければいいのだ」
乗り越える、克服するというのは、なんともハードルが高い。
肉親を思いもかけないかたちで亡くしたときには、
乗り越えていくというのは、難しい。
だったら、もう一歩進んで、乗り越えないでいいじゃないか、
背負って死ぬまで生きていけばいい、それだっていい人生は送れる
そういうことをいっているのではないか。
あまりにつらいことがあったら、乗り越えようとなんかしないで、
背負って生きていけばいい。
そのうち、背負っていたって、ラクな歩き方を覚えるさ。
というか、自然にそうなっていくのに違いない。