趣向が違う

地方の人は東京というと、大都会をイメージするのですが、
テレビで見るビルが並ぶ風景というのは、
皇居を中心とした、JR山の手線の外側数キロメートルに広がる
部分の、いわば都心部だけだ。
東京でも市町村部、とくに多摩川を越えれば
雑木林もあれば、畑もけっこうあるのですよ。
この春、東京にやってくる地方の学生さんなどは、
八王子に来れば、「うちのところとあんまり変わんない」
と思うことでしょう。
若いうちは都会にあこがれるのかもしれません。
妻に聞くと、好きなブランドとか、買い物をするのに
都心部のほうが好都合だから、若いころは住みたかった
というのです。
私は最初から東京に住みたいからやってきたわけでは
なかったので、そういう憧れがまったくない。
都心部の人たちは多摩地区のことを田舎だとさげすんでいるのですが、
多摩地区の人たちは都心部のことを都会だとさげすんでいます。
両者がともに「あんなとこによう住むなあ、かわいそうに」
と思っている。趣向が違うんですね。
「住めば都」というが、「都」が暮らし向きにいいかどうかは
人それぞれだ。