ないものねだりです

「ないものねだり」という病はなかなか治らない。
一生付き合っていくしかない不治の病です。


物件購入でお世話になっている不動産屋の担当者さんと
私の職場付近で銀行関係の手続きをした。
不動産屋は郊外にあり、私の自宅にも近い。
彼がふという。
「久しぶりの都心で緊張しましたよ。
いいですね、毎日こんな都会に来られて」
私は、
「いやぁ、こんなとこまで毎日往復2時間かけて、しんどいスよ」
と返した。
私の職場は神保町という古本街にある。
皇居の北側に位置し、皇居へは歩いていける。
山手線のど真ん中だ。
郊外、あるいは地方から見れば、東京のど真ん中で
たのしそうに思えるかもしれない。
でも私は通勤が毎日大変だから、毎朝通勤にせいぜい30分のところで
仕事ができたらなあと思わずにはいられない。
東京以外には通勤問題はあまりないらしい。
大阪でも名古屋でも都心から30分も電車で走れば、
安い住宅があるという。
「こんな都心で仕事できていいね」
という人の気持ちがわからない。
でも、その人も私もないものねだりなのですよね。
たまの都心だからいいなって思うのだし、
たまに山に行くからいいなって思うのに違いない。
反対の立ち場になったら、また対岸をうらやむようになるのだ。
ただ、このないものねだりという病を治すことはできないので、
そんなことなんかできないんだと割り切っている。