T君との苦い思い出

GWに私の両親が岡山から東京に来てくれた。
両親からの話でよく出てくるのは、近所の私の同級生など
年の近い人がいまどうしているかという話だ。
その中でT君の話をよく聞く。
T君の話で一番覚えているのは、親子ソフトボール大会でのことだ。
T君もぼくもスポーツ少年団ソフトボールのチームに所属していた。
私は当時、ソフトボールの少年団チームのレギュラーで
T君は控えメンバーだった。
この親子ソフトボール大会は、少年団の中にあるチームをシャッフルし、
地域の少年団に入っていない子や親たちが参加して
優勝を競う、レクリエーション要素の強い、親睦大会だった。
親子ソフトボール大会で私とT君は同じチームになり、
私がいわば「選手兼監督」になって、選手交代を担った。
試合はトーナメント方式で勝ち進んでいって、
何試合目かのとき、私は勝利にしか目に入らず、控え選手を
試合に出すという監督の役割をすっかり忘れていた。
T君はそのときも控えで、結局、私が選手交代を怠ったために、
この大会でもT君は試合に出られなかった。
そのことを最後の試合にあとに、大人に指摘され、ハッとした。
たぶん、大人のあいだではそのことが問題になったんだろう。
T君との思い出で思い出すのはこれだけ。
私にとって彼には本当に申し訳ないことをしたと思った。
それを心底思ったのは、高校、大学になって私自身が野球チームで
控え選手に甘んじてからだ。
試合に出られないことがこんなにつまらないとは……。
このブログで再三にわたって、
「スポーツは勝てばいいものではない」
「子どものころはスポーツは楽しむことが第一」
と書いているのは、この経験があるからでもある。
ゲームにはできるだけ多くの選手が参加してみんなで楽しむ。
指導者は参加した全員が楽しめているか、常に点検しておく必要がある。
楽しむ中で勝利への欲求を高めていき、同時に技術も追求する。
うまい下手は二の次。まずは楽しむこと。
そうでないとオモロない。