なぜ昔は子どもが多かったのか

何冊も本を出している著名な評論家の方に取材した。
その方がとても興味深い話をしてくれた。
「なぜ昔は子どもが多かったのかわかる?」
私が首を横に振ると、こんな話をしてくれた。
「私がある嫁さんから聞いたらね、
どうもヒザが寂しくってねえというんだ。
小学生になったら子どもは親のヒザの上になんか乗らないでしょ。
でも、子どもがヒザに乗っているうちは、農作業が休めるって
いうんだ。
昔の農家の嫁はとにかくこき使われた。
いまみたいな農機具なんかないから、それは重労働だ。
だから、子どもがとぎれないように次から次へと産んだんだよ。
もちろん、次世代の農家の担い手をつくるっていうのもあるけど、
農作業に比べたら、子育てというのはそラクで、
それはそれは楽しいものだったんだ」
私は考え込んんでしまった。
いまは農作業は機械が入ってうんと楽になった。
でも、子育ては紙おむつができたくらいで、ほとんど省力化されていない。
相対的に子育てが重労働になっているんだね。
子育て以上にしんどい作業がない現代人は、
育児疲れして当然かもしれない。