「臭いやつは全部捨てる」という文化

プロ野球の金銭授受問題を見てて、
いまの世の中を象徴しているなあと思った。
「セーフなやつと、アウトのやつの区別がつかないから
全部アウトにしておこう」っていう精神だ。
「めんどくさいから紛らわしいのは全部ダメ」にする文化ね。
食べ物でいったら、ちょっと臭いがおかしい、臭い奴は全部捨てる
というようなことだね。
腐ってなくても全部捨てといたほうが安全っていう、
思考停止のやり方。これほんと、いまの世の中に多いよ。
プロ野球の賭博の場合、何が悪いかというと、
自分のチームの勝敗を賭けの対象にしたとき、勝った場合に自分が損をする
状況や、負けた場合に自分が得をする状況ができるからだ。
そうなると、わざと負けるということになり、結果としてプロ野球自体が
魅力的なものでなくなるから、こういう規定ができている。
これと警報による賭博禁止の条項とは別にして考える必要がある。
賭博を禁じた刑法第185条では、
「賭博をした者は,50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし,
一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは,この限りではない」
と定められている。
「一時の娯楽に供する物」というのは、ジュースやお菓子など
すぐに消費してなくなってしまうものという認識が一般的。
ただ、1000円とか2000円ぐらいを数回賭けるぐらいなら
摘発の対象になる可能性は低いと思われる。
ところが、プロ野球ではノックでミスをした選手が1回につき、500円
支払ったとか、そういうのまで問題にしようとしている。
こんなのは「一時の娯楽に供する物」の範疇に入るので、
取り上げる意味がない。
でも、考えるのが面倒なので、「全部ダメ」とやってしまっている。
選手自身が勉強して考えて、これはダメ、あれはOKとなぜ言えない?
すぐに球団が「教育の徹底」なんてことを言いだす。
選手は基本的に自営業者なんだから、全部人に任せて言いなりになってないで、
自分たちでこの問題を考えて、いいものと悪いものを選別するべき。
自分たちで考えておかないないと、また同じことを繰り返すよ。
今回のプロ野球の賭博問題は、
本質的なことをちゃんと自分の頭で考えて、よいものとダメなものの
線引きをちゃんと自らの責任で行うことの大切さを教えられた気分だ。