こぶしで歩く男とNYマラソン

昨日も書いたボブ・ウィーランドのことをもう少し。
彼はアメリカ横断だけでなく、各種のマラソン大会にも出場している。
そのうちのあるひとつの大会は伝説になっている。
1983年、ニューヨーク・シティラソンが1万人の参加者を
集めて開催された。
レースが終わって、ゴールの門が撤去されたあと、
大会本部に「まだゴールしていないランナーがいる」
という情報が入る。
それがボブ・ウィーランドだった。
アメリカ横断の旅の半年後、彼はこのマラソンに参加していたのだ。
大会主催者はすぐにゴールを作り直し、彼を待った。
一歩ずつ進む彼をニューヨークの人たちは、昼夜を問わず応援した。
その応援の列は途切れることはなかったという。
4日後、彼はセントラルパークのゴールに到着した。
ゴールには数千人の人が見守って拍手で出迎えた。
記録は4日と2時間48分だった。
この話はボブ・ウィーランドの不屈の精神を称えるとともに、
あらゆる人を受け入れるアメリカ人気質を体現した出来事として
全米で感動を呼んだ。
ウィーランドもえらいが、
ニューヨークマラソンを支えた人たちもえらいね。
こういう人がいて、こういう伝説が生まれるのが、
アメリカという国の奥行きの深さだね。