食事と豊かさ

安価にイタリアンやフレンチが食べられる店が
流行っていると聞いたとき、日本人らしいなと思った。
味というのは、誰とどういう会話をしながら、
どういう雰囲気で食べるかで全然違うものになるのに、
味覚だけをキリキリ追求しようとする。
外的刺激だけを追求しようとするところがある。
うまくて安ければなんでもいいという考えなのだ。
それが時間のないときならいいですよ。
でも友人と食事を楽しもうというときに、
立ち食いはないんじゃないかと思う。
日本人は本来、外的刺激だけじゃなく、
内的刺激が外的刺激に影響することを肌感覚で
わかっていて、情緒を感じ取る感性があった。
それが失われてきているのかなと思う。
食事が単なる栄養補強のための作業なら立ち食いで十分。
でもそれ以外のときは、人と話をして、その人との
関係を深める場でありたい。
そういうことができるのが豊かさというのだろう。