最後に残るのは日陰者

昔は「日陰者」なんて言葉があった。
辞書によると、表立って世に出られない人とか、
世の中に埋もれて出世できない人と書いてある。
植物の世界にも「日陰者」はいる。
日当たりを好むものと、日陰を好むものがいるのだ。
この両者、最終的に残るのはどっちか?
草も木もない土地(裸地)には、最初に草が生え、
その後、日当たりを好む樹木が生える。
そして、日陰を好む樹木も生えてくる。
やがて、日陰を好む樹木が大きくなってくると、日当たりを好む樹木は
日陰を好む樹木の日陰になっていき、やがて勢力を失う。
最後に残るのは日陰を好む樹木なのだ。
いわば「日陰者」である。
植物の世界では「日陰者」のほうが最終的には繁栄する。
種を繁栄させることだけが生物界にとっての「成功」であるから、
成功者は「日陰者」ということになる。
日陰で生きられる者が強いのだ。
日陰で生きることを悲観する必要はない。
一時は確かに日当たりのよいところにいるもののほうが華々しく見える。
でも、最終的には彼らは駆逐され、日当たりの悪いところで育ったものが
居場所を占有するようになる。
なんとも痛快ではないか!
これこそ人生90年時代の今にぴったりな人生の教訓だ。