行間を読ませるな

私がノンフィクションの書籍を15年つくっていくなかで、
当初から言われていたのが、
「行間を読ませるな。ディティールが大事だ」
ということだ。
つまり、今の読者は行間なんか読めない、全部書いてあげないと
いけない。実用書もノウハウを全部書く。それは具体的なほどいい。
明日から使える方法を、みんなが望んでいるからだというのだ。
昔からそういう本はそういう本としてあったのだろうけど、
いまは他のジャンルの本にもそういう傾向を入れるようになった。
本に書かれていることを、そのままやって、「うまくいかないじゃないか」
というのは、読む側としてやってはいけない姿勢だ。
いや、そりゃあ、「これさえやればうまくいく」と宣伝には書きますよ。
でも、それは宣伝であって、それをそのまま鵜呑みにしてはいけない。
本はあくまでもヒントにするべきもの。
あとは自分で考えて、自分の立場、持ち場で、アレンジした方法を
やってみて、うまくいくかどうかを検証する。
これ以外に方法はない。
わかりきったことまでいちいち書くのは、読者をバカにしているようで
気が引けるが、それもいまの時代なのかと思う。