自然なんぞ

疲れた心と体に、はい、1本。
名言サプリ 其の195


自然なんぞが本当に美しいと思えるのは
死んで行こうとする者の眼にだけだ。

堀辰雄風立ちぬ・美しい村』)


堀辰雄は日本文学を語るときには欠かせない作家。
恋人が死ぬという小説の中での一節である。
ここで言いたかったことは、
「自然なんか美しくなんかない」ということではなく、
「死のうとする人にしか自然は美しいと映らない」ということ。
昔の小説だから、自然なんかそこらじゅうにあったわけですよね。
美しいんだけど、当たり前に目の前にあるものを
美しいととらえることは、人間にはできないんだ
ということをいっているのだと思うのですよ。
それだけ人間は浅はかな存在だし、
死っていうのはそういうもんだと。
冷徹だけど、人間の本質をとらえた言葉ですね。
この本は一度読んだはずだけど、また年をとったら
ゆっくり読んでみたいなあ。