「風立ちぬ」その1

宮崎駿監督の長編引退作品ということで、
話題になった本作がテレビ初登場。
零戦をつくった堀越二郎と、作家堀辰雄の作品を
ミックスさせたようなお話。
堀辰雄の『美しい村』だけは読んだ記憶がある。
風立ちぬ』は未読だし、堀越二郎という人のことは知らなかった。
ここだけ聞くと、おいしいどころだけをつまんだように聞こえる。
見ていてもそんな感じを受けていた。
ところが、劇中に出てくるある「書」の意味を後で調べて、
なかなか味わい深い思いがした。
そのことはあとで触れるとして、まず印象を書く。
全体として印象的な音楽がストーリーにマッチしていて、
自然の描写がとても美しい。
この自然の描写は監督のこだわりか。
風、雨、揺れる木々。監督の深い自然への洞察がよく現れている。
あと、関東大震災のシーンもなかなか秀逸。
災禍を逃げ惑う人を一人ひとりしっかり描いている。
これはすごいことだなと思った。
声優陣もうまい。特に西島秀俊。ぴったりの声だった。
大人のアニメだと聞いていたが、その通りだと思った。
生きるということをそのまま問うている。
大人の、それも30代以上のほうが見ごたえがあるのではないか。
その点については「その2」で書くことにしよう。