『白仏』

中山美穂の夫、辻仁成氏の著作は今回の『白仏』で初めて読んだ。
書き手の端くれとして、こういうのを読むたび、
「小説家にはなれないなあ」とため息が出る。
当然だけど、うまいです。さすがです。
著者の祖父をモデルに書いたそうで、九州を舞台にある鉄砲屋の主人の
一生を丹念に追っていく内容になっています。
生きることそのものを問う内容で、生への切実さや生々しさが
よく伝わってきた。
「死んだらなんもない」という達観には共感した。
主人公の初恋の女性に対する思いはわかる気がするし、
墓に対する思いもわかるのだが、あまり私にはピンと来なかった。
また機会があったら、別の辻氏の著作も読んでみたいな。