『遺品整理屋は見た!!』

『遺品整理屋は見た!!』は、
遺品整理業を営む会社社長の本です。
遺品整理とは、遠隔地に住んでいるなどの理由で、
死者の遺品整理のできない遺族が依頼し、
遺品の整理などを行うことです。
最近、遺品整理を業者に委託する人が増えているんですね。
独居老人が増えていたり、血縁者のつながりが薄れていたりする。
子どものころにしか会ったことのない親戚が亡くなったから
と突然いわれても、困ってしまうのだろう。
そうなると、「お金は払うから、やって」ということになる。
そういう死の現場で起こる話は実にリアルで、
人間の素の感情が露呈する。
印象的な話があった。
遺品を持ち帰ろうとしない遺族に、著者はいう。
「少しでも持って帰ってあげたらどうですか?」
すると、遺族は「あの人が私たちに何をしたか、知ってて言って
いるんですか? 借金つくって、外に女つくって……」
と反論したという。
人生いろいろといえばそれまでだけど。
読んでやっぱり暗い気持ちになるが、現実を知るにはよい本だ。