傍聴席、初体験

裁判所というのは普通の人はあまり縁のないところだ。
仕事で初めて東京地方裁判所の法廷にある傍聴席に座った。
誰でも裁判は傍聴することができる。
裁判はある殺人・詐欺事件の一審判決が下されるもので、
裁判官が主文という判決内容を読み上げるというものだった。
裁判官がどうしてそのような量刑にいたったかを説明していく。
けっこう細かな点についてまで詳細に語る。
最後に裁判官は訓話みたいなことを話す。
「あなたにも被害者にも子どもがいる」と言ったところで、
被告人が鼻をすすって泣き始めた。
殺人犯でもやはり人の子なのか。
傍聴席は40人程度。満席になった。
ほとんどがメディア関係者だろう。
裁判官はたんたんとしている。
それはそうだ。普通の人にとっては裁判所の風景は非日常でも
裁判官や検察、弁護人にとってそれは日常なのだ。
傍聴席と被告人の間には木の柵しかない。
あっち側の人間とこっち側の人間の垣根は、
案外と低いのかもしれない。