マーフィーの法則を知っていますか?

昔、マーフィーの法則というのがありましたね。


急いでいるときほど反対車線のバスばかりやってくる


とか、


トーストのバターを塗った面が下に向いて落ちる確率は、
カーペットの値段に比例する


とか、


機械が動かないことを誰かに証明して見せようとすると、動きはじめる


とか、


洗車しはじめると雨が降る。雨が降って欲しくて
洗車する場合を除いて。


といったようなやつだ。
ベストセラー本もいくつか出ましたね。


なるほど、もっともだと思う人もいるでしょう。
あるある、と思う人もたくさんいることでしょう。
でも、いま行動経済学認知症の本をつくろうと思ってますが、
下調べでわかったことから、マーフィーの法則
説明できそうだということに気づきました。


マーフィーの法則は確率的には表現どおりのニュアンスでは
起こっていないでしょう。
でもそれがいつも起こっているように感じるのは、
人間の悔しい思い、悲しい思い、つらい思いが、
より強く記憶に刻み込まれるからです。
「ちぇ、なんで反対車線のバスばかり来るんだよ」
これは自分が乗ってしまえば反対側のバスの到着を
見ることはできないので当たり前です。
トーストの件は、カーペットが高くて悔しいからそうなる。
機械が動かないと言った自分がばかみたいで悔しい。
洗車したその日に雨が降ったら、やっぱり悔しい。
人間というのは、情動(喜怒哀楽)に関する記憶ほど
強く刻み込まれます。
(だから痴呆老人は、自分がいまどこにいるか忘れても、
子どものころ親に優しくしてもらったことは忘れない)
情動は脳の扁桃体という部分で処理します。
バスがすんなり来たときは、当たり前のことだから
記憶に残らないので「法則」にもなりません。
だから実は確率的には同じくらいの頻度で起こっているにも
かかわらず、「悔しい」「悲しい」「つらい」思いが加味される
ために、記憶に強く残り、それがいつも起こっているように
錯覚されてしまうのです。
こういうことは経済活動の面でも起こります。
それを解析したのが行動経済学です。
行動経済学認知症
このふたつのテーマはどうも脈絡がなさそうで、
実はちゃんとつながっているようです。
行動経済学にも痴呆老人の世界にも通じることは、
「人は見たいものを、見たいように見ている」
ということにほかなりません。
合理的に物事を考えるために必要なのは脳の部分でいうと、
前頭葉になるかと思います。
実は人間以外の動物の前頭葉はかなり小さいらしいです。
もしかしたら、前頭葉さえないかもしれない。
脳のなかでは、扁桃体は古参で、前頭葉は新参なのかもしれない。
動物において扁桃体はとっても重要です。
というのは、匂いの情報を処理するのが扁桃体だからです。
いうまでもなく、食べるために匂いは重要で、
ガスなど危険物質から逃れるためにも必要です。
人間は前頭葉を発達させたために、実は扁桃体が人間の言動に
かなりの影響を与えることを忘れてしまったんじゃないでしょうか。
人は合理的に考えているようでも実はそうでないことも多く、
それは人間の認知のシステムが、「見たいものを、見たいように見る」
ようになっているからだと思うのです。
だから頭で合理的に考えることよりも、直感や感情にまかせて
行動するほうが、よい結果が得られるのではないかと
思ってみたりします。人間は頭でっかちになりすぎたのかも。
もっと動物的な暮らし方でいいのかもしれませんね。