ポイントに振り回されてはいけない

いい番組がある一方で、
「こういうのをテレビで流していいの?」
というのも多い。
金融市場における決済サービスについて取材している関係で、
ポイントについてのお得情報を扱う番組を見た。
その番組の主旨は、
「現金ではなく、電子マネーやカードを使うことで
どれだけ効率的にポイントが貯められるか」
ということだった。
ポイントはほとんどお金とみなされ、購入するときの割引に充てられる。
番組の雰囲気はあたかも「ポイントのつかない支払いは損である」と
いわんばかりで、ポイントを貯めさせる=ある特定企業での消費を
誘導するような内容で唖然とした。
なぜこんな企業におもねる番組をやるんでしょうね。


企業がポイントを導入する動機付けとしては、
リピーターの確保だけでなく、
「人々がお金を使うハードルを下げる」ことにもある。
(これは電子マネーにもその“効果”がある)
人々はお金を使うときに、「これが本当に必要かどうか。支払うお金に
見合ったものが得られるか」を吟味して買う。
しかし、ポイントの概念が頭にあると、商品の価値はどうでもよくなり、
ポイントがつくかどうかのほうが、商品を選ぶ基準になる。
あくまで主が消費者の欲であり、ポイントは従であったのに、
ポイントが主になり、消費者の欲が従になってしまう。
こうなると、ポイントに振り回されることになる。
怖いのがこれが無意識に行なわれるようになることで、
知らず知らずのうちに「消費行動を誘導されてしまう」ことである。
ポイントによって消費を誘導されてしまうのだ。
私たちはこういうポイントに振り回されず、
本当に欲しいものを、欲しいときに、それ相応の対価を出して買うべきだ。
そして、お得情報のようなものに飛びつくのではなく、
本当に自分にとってそれが必要な情報なのか考えるべきだ。
私たちが考える以上に、企業は私たちを消費に向かわせようと、
心理学や統計学、場合によっては脳科学や生理学を駆使して戦略を考える。
何も考えないでいると、簡単に乗っかってしまう。
おそろしい世の中になったものだと、つくづく思う。