父親のことを「あんまり」な娘

細君は帰宅するとその日の娘の様子を教えてくれる。
ある日、「お父さんのこと好き?」って聞いたらしい。
「あんまり・・・・・・」と娘は答えた。
聞いた瞬間、「ええっ! そうなんっ?!」って思った。
「違うの、最後まで聞いて」と細君はいう。
理由を聞くとこう言ったという。
「とうたん(父さん)、夜来たらジュンちゃん(自分のこと)寝んね、
朝、すぐ帰っちゃう」
夜に会わないのはもとからだったが、最近は朝が早くなったのと、
娘が起きるのが遅くなったことで、平日顔を合わせる時間が
15分〜30分未満になっていた。
娘は私のことを外から通ってきていると思っているようなのだ。
なんだか切ないものがこみ上げる。
でもだからといって仕事の能率を上げるために朝早く行くのを
やめるつもりはない。多くのお父さんもそうしているはずだ。
そのかわりというわけではないが、土日はできるだけ
接するようにしているつもり。
道理がわかるようになれば理解してくれるはずだし、
一生懸命仕事をし、ちゃんとした生活を見せることが
一番の教育とも思う。
「これでいいのだ」
と自分に言い聞かせた翌日の朝、「土日はいっぱい遊ぼうね」と
言うと、娘は「うん」と小さな声で頷いていた。