なぜ老人を尊敬するのか

「昔、老人を尊敬していたのは、長寿だったから」


そういう人がいて驚いた。
いま老人を尊敬しなくなったのは、
みんなが長寿になったからだというのだ。
ぼくはこの説にはまったく反対した。
老人を尊敬するのは、長幼の序という儒教の精神が
強かったからである。決して長生きできたからではない。
昔は長生きできる人が少なかった、だから長生きした人は
「すごい」ということではあった。
長生きしているからこその智恵をたくさん持っていたのも
理由としてあっただろう。だがそれだけではない。
今では智恵を老人から授からなくても、インターネットで事足りると
多くの人が思うようになっていったからだ。
決して、みんなが長生きできるようになったからではない。
先に生まれたというだけで、理由なく尊敬・・・とまではいかなくても
尊重する対象であるとぼくは考えている。
だからこそ「先生」という言葉があるのではないかな。
年上の人はすべて先生なんですよ。
数が多いから尊重しなくていいなんてことはないのだ。
年配者を尊重しない風潮は子育てしている人を見れば明らか。
祖父母のことを「ジジ」「ババ」と呼ばせてまるで家来のように扱う。
やっぱりきちんと「さん」とか、
少なくとも「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばせるべきだろう。
やがて自分も老人になるのだから、自分がしてもらいたいように
いまの老人にも接したいものである。