それにしても、いったい

20代の中ごろ、「日本のあるべき姿」を書いた本をいくつか
つくっていたときは、あまり明るい未来の話がなかったので、
取材した帰りに飲んで、電車に乗って乗客を見ていると、
どうしようもなく悲しくなったものだった。


こんな大変な時代にどうしてこの人たちは生まれてきたのだろう
この人たちはいったいどこに向かっているのだろう
何を求めて生きているのだろう
彼らに夢はあるのだろうか
いまもそれを持ち続けているのだろうか
それにしてもなぜ私たちは生きているのだろうか
生きたところでどういう意味があるのだろうか


時がたって、今でもたまにあのころと同じ問いが頭に浮かぶ


自分が生きることにどれだけの意味があるのだろうか
それと同じ意味で、彼らが生きるのにどれだけの意味があるのだろうか
いったい私たちは何がしたいのだろうか


そういうものがすべて遺伝子のなせる技なのだとしたら、
それこそを今知りたい。