黙々と

20代のとき海外を放浪していたNさんは
外国人の友人がとても多い。
彼の話はいつも興味深いものばかりだ。
この間もフランス人の友人だかの言っていた話を聞いた。
そのフランス人はこう言ったという。


ヨーロッパでもアメリカでも精巧なものをつくったものづくりの職人は、
「これはおれの作品だ」とアピールする。
でも日本人は黙々と、ただ黙ってつくる。
以前はそんな日本人を馬鹿だと思っていたけれど、
いまは資本主義を振りかざして、「オレがオレが」で儲ける人ばかりだ。
黙って仕事をするって、とてもかっこいいと思うね。


昔、おしゃべりな男は嫌われた。
黙々と仕事をすることが尊ばれた。
しかし、落合博満(現中日監督)が「有言実行」などと
言い出したときから、男子は自分の仕事をアピールしてもいい
ことになっていった。
いまではそれどころが、どれだけ声をあげて自分をアピールできるかが
大事だと言われるようになった。
夫婦間でもしゃべらない夫は「定年離婚」の対象になるという。


Nさんは言う。
「欧米の人たちもそういう日本の良さをやっと
気づくようになったんだなあ」と。