「フラガール」

テレビでやっていたのをビデオにとっていて、
それをやっとこさ観ました。2か月ぶりの映画鑑賞であります。


昭和40年、福島県いわき市の炭鉱が閉鎖されるかという時代に、
炭鉱会社が「ハワイアンセンター」の建設を企画します。
石炭産業が斜陽になっていくなかで、
地元は観光で生きていかなくてはならなくなる。
そのハワイアンセンターの目玉として結成されたのが、
フラガール」たちでした。
東京から呼ばれたダンスの先生と地元の「フラ娘」たちの関係にはじまり、
「ハワイアンセンター」を成功させたい勢力と、
炭鉱を存続させたい炭鉱労働者組合の勢力とのせめぎあいが
物語の根底にあります。
「フラ娘」たちの親は炭鉱労働者。
働くということは、汗とドロにまみれるということであり、
「裸に近い格好で、人様の前で腰を振る」ということは、
当時の人の価値観では到底許されないことだった。
新しい価値を生み出そうとする人と、旧来の価値観から抜け出せない人
との闘いの構図であるともいえます。
でも、どっちであろうが、情熱のある人のほうが成功します。
フラの生徒を殴った父親を、男性浴場まで追っかけるダンスの先生や、
ヤシの木を枯らせたくないと土下座をするセンターの従業員。
そういうものに涙が出るんです。


あ、それからもうひとつ思ったのは、
この「ハワイアンセンター」という観光施設のこと。
私の地元にも「ハワイアンなんとか」という施設があった。
どの都道府県にも1つはあるんじゃないかな。
そういうのを見ていると、
「あれはおじいちゃん、おばあちゃんが行くところ」とか、
「なんで日本的な伝統芸とか、地元の特性を生かした施設にしないのか」
といつも思っていた。
要するに、いまどき「ハワイアン」でもなかろうと。
しかし、この映画を見ていると、なかなかいいではないか、と思える。
厳しい冬を越えなければいけない地域の人こそ、
あたたかいハワイのようなところに憧れるものかもしれない。
それをダサいなどと一笑に付すことはできないのではないか、と思った。
何より、懸命にフラダンスを踊るフラガールたちを見るだけで
来たかいがあったと思えるのではないかと、
ラストシーンを見て感じたのでした。