二十四の瞳

実家に帰省したのですが、夜行バスのせいか、
まったく何もやる気が起こらず、映画を観ることにしました。
瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台にした「二十四の瞳」です。
もういわずと知れた名作中の名作。
ですが、小説も映画も鑑賞しておりませんでした。
小豆島に新任の大石という女教師がやってくる。
最初に受け持ったのは12人(男5女7)の一年生。
彼ら12人の人生が、戦争という運命の渦の中にひきづり込まれていく。
濁流に飲み込まれていく小舟のように、無力な少年少女は
時代に翻弄される。そこには、個人の意志を挟む余地はない。
それを大石先生はただただ受け入れて涙を流すだけ。
生徒のそばで涙を流すだけなのです。
大石先生はごく普通の先生だったでしょう。
特に優れた教育理念をもっていたわけではないし、
強い意志で、みんなを引っ張っていったわけでもない。
でも、優れていたのは生徒一人ひとりとのかかわり方でした。
最初に受け持った生徒であり、人数も少なかったかもしれないけれど、
教師の職を辞しても、ずっと生徒と関わり続けた。
人の痛みを自分の痛みにしてしまう感受性があった。
生徒たちが大石先生に惹かれたのは、そこだったように思う。
やはり名作は見ておくべきものですね。