「やればできる」と言ってはいけない

40年以上も公立・私立の小学校教員、大学教授を務めた方の
お話を聴く機会がありました。
何度か会って話を聞いて、最後にその先生がまとめとして
次のようなことをおっしゃいました。


昔の子供は10の願い事のうち、1つ叶えば大変に喜んだ。
でも今の子供は10のうち9つ叶う。だから、叶わない1つの
ことを不満に思っている。
だから私は「やればできる」というのはやめなさいと
講演で父兄の前で話します。
やってもできないことはたくさんあります。「やればできる」と
いうのは励ましの言葉として使うのはいいのですが、
10の願い事のうち9つが叶う今の子供にいうと、
本当にそうなのだと錯覚してしまう。
だから、「できるだけやろうね」といえばいいんです。


私は考え込んでしまった。
「やればできる」という言葉はそんなに悪いことかなあと。
でも、確かに先生のいうことも理解できる。
やってもできないことは山ほどある。
いまから私がプロ野球の選手になるのは100%無理だ。
今の時代、「やればできる」というのは大人に向かってこそ
いうべき言葉なのかもしれないなと思う。
何でもネガティブな情報が多いものだから、
やりきる前から諦めてしまうことが多い。
だから、簡単に諦めそうな人に向かって
「やればできる」というべきなのだ。
一方で、「何でも願いが叶う」と子供に思わせるのは問題で、
「やってもできないこともある」と教えないといけない。
そして、それと一緒に「もし仮にやってできなくても、
がんばってやったことは決して無駄ではない」といえばいい。
今の時代はすべて結果で判断されるけれど、
がんばった過程が必ず人生で生かされることを知るのは
早いほうがいいと思う。