読解力と応用力が落ちている

ライターの仕事として、ビジネス書の聞き書きをよくやっています。
早く言えば、ゴーストライターです。
最近のビジネス書の仕事は、儲かるノウハウものみたいなものか、
仕事術みたいなものが多いのです。
そういう仕事のとき、必ず編集者からリクエストされるのが、


「具体的に」「ハウツーを入れる」


という2点です。
明日使えることが書かれていなければ、「自分の知りたいことが書かれて
いない」という読者レビューが来るそうです。
おまけに、「そんなのはわかっている。もっと具体的なことが知りたかった」
とまで書いてあるそうです。
つまり、みんな自分で具体的な方法なんか考えようとせず、
明日使えるテクニックを手っ取り早く知りたいというのです。
私は思います。


読解力が落ちているのではないか、と。


今やセミナー後のアンケートでもそういうことを書く人がいるそうです。
自分の立場に置き換えてみる、ということができなくなっている。
応用力も落ちているのです。
ひどいときなんか、
営業職の人の場合はこうしましょう、
企画をする人の場合はこうしましょう、
管理職の人の場合はこうしましょうと書かなければならない。
コンサルタントの先生たちは、そういう人たちこそがいいお客さんになる。
ビジネス書も同じです。だからハウツー本ばかりになるのです。
昔は仕事の哲学だけ書けば、みんなが自分の場合に置き換えて
全部理解したのかもしれません。
それとも、スピードの時代だから、哲学を学んでいる場合じゃないのかも
しれません。早く成果を出したいのでしょう。
そういう世の中で本当におもしろい仕事はあるのでしょうかね。
ともかく、読解力と応用力を上げるにはどうしたらいいのでしょうか。
さしあたって考えられるのは、
本をつくっている人間がいうのも何ですが、


本を読むこと


これしかありません。
本を読んで想像してみること。
そうすれば、どんな現象からでも学べるようになります。
極端に言えば、道を歩いて眼に入ってくる看板からでも学べます。
他の人が見過ごすことに気づくようになり、結果として、
充実した人生があると思うのです。
ネットもおもしろいし、テレビもおもしろいです。
でも、やはり本をもっと読まねばと思ったのでした。