終われない人

宮崎駿が新たな長編作品を企画中だという。
NHKスペシャルの「終わらない人 宮崎駿」で
内容は明らかにされていないものの、「企画書覚書」なる
ものが映し出されていた。
印象に残った2つの言葉があった。
ひとつはこれ。
「何もしないというのはつまんないからじゃない?
結局そういうことだと思っている。
だけどヘボはつくりたくない
違うところへ行きたい」
何が宮崎駿を動かしているのかとの問いに答えたものだ。
何もしないのはつまらないってのは、究極的な真理だよね。
極めて単純で当たり前なんだけど、
みんなは何もしなくなってから、できなくなってから
このことに気づくんだよ。
ああ、あんな大変だったけど、幸せだったねって。
そこを深い次元で気づいているのが彼なんだろう。
もうひとつはこれ。
「映画できちゃったときになさけない思いをしないことが一番大事だから
ああやっときゃよかったということが絶対にないように
やったけどダメだったねってほうがましなんだよ。
そう、本当にそうなの。本当にそうだからね、これは」
自分に言い聞かすようにつぶやいていた。
これは本当に共感した。
まったく別次元だけど、同じ「つくる人」としては、
これがなくなったら、もうこの仕事はやめたほうがいいと思っている。
まあ、私の場合、自分が納得するレベルがそれほど高くはないけどね。
宮崎駿は、「終わらない人」じゃなくて、「終われない人」なんだろうな。
「仕事やってたほうがおもしろい」もうこれしかないんだろう。
おもしろい仕事をするんじゃなく、
仕事をおもしろいものにしていくってことを
生涯、追い求めていきたいね。