いじめ撲滅に何ができるか

いじめ自殺が連鎖しているので、いじめをどうすればなくせるか
と連日テレビで教育関係者が出演して、議論している。
現在のいじめをめぐる学校内の事情は複雑を極めていて、
学校側やいじめた生徒を糾弾することで、この死の連鎖は
止まらないことは明らかだ。
ここでは個々のケースについては触れないが、
いま起こっているいじめを、学校側がすべて把握するのは
はっきり言って不可能だ。
大人からみていじめとみえるものでも、仲がいいだけのこともあるし、
いじめていると思っても、本人は「相手にされてうれしかった」という
こともある。
つまり、いじめられている本人が
「いじめられているから、やめてほしい」
という声を発しないと誰も対応できないのだ。
そのためには、誰かSOSを伝えられる人がいることが
とても大切になってくる。
教師は、教師陣全体で生徒をケアすることが必要だと思う。
生徒は担任の先生と合わないというだけで、居場所がなくなる。
校長でも、保健の先生でも、図書館の先生でも誰でもいいから、
いじめられていることを言える先生が必要なのだと思う。
子どもは親にはいじめられていることを言いにくいから、
担任だけでなく、先生たち全員でケアする。
親は家庭で「あなたはかけがえのない存在だから、
どうか死なないでほしい」と伝えるのと同時に、
「クラスメイトもあなたと同じでかけがえのない存在なのだから、
いじめるべきではない」と言うこと。
「いじめられているときは、誰でもいいから誰かにSOSを
発信するべきだ」ということを伝えることだ。
そして、社会全体としては「いじめはよくない」という雰囲気を
つくり出すことが大切だ。
地域の子どもの居場所をつくってやることも効果が大きいと思う。
たとえば、ボーイスカウトなどの地域の集まりに参加するとか、
碁会所や柔道や剣道の道場のように、学校と家庭のほかに居場所を
つくるのである。
誰かががんばればいじめがなくなるという単純な構図ではないから、
誰もが何かをするしかない。
制度面の不備は指摘して改善するべきだが、誰が何をするべきかという
方法論についても、もっともっと議論があっていいと思う。