足立新田と八重山商工

高校野球に注目している。
なんせ元高校球児で、野球を15年間やってきましたからね。
野球についてはちょっとうるさいですよ。
どれくらいうるさいかというと、おじさんが居酒屋で
小泉政権について話すぐらいうるさいですよ。
で、今年も母校は早々に負けてしまったんですが、
応援している高校がなんと、東東京のベスト4に勝ち残りました。
都立足立新田高校です。
以前、この学校の前校長のお話を聞く機会がありました。
まあ、想像を絶する荒れ様の高校だったわけです。
廊下はゴミだらけ、天井は穴だらけ、約半数が中退するような
高校だったわけです。
それを前校長が先頭に立ち、回りの教師らと強力することで、
都立では1、2を争う人気校に変身させた。
そういう高校が一つひとつ勝ち進んでいく様子が
とても頼もしく感じました。
ぼくが見学で来校したときも生徒さんたちは
「こんにちは!」と笑顔で挨拶してくれたものでした。
2年前の夏に予選を応援に行ったときは、選手の父兄さんたちが
熱心に応援されていて、とてもいい雰囲気でした。
近いうちに甲子園に行くでしょうね。
もうひとつ注目の高校は、沖縄県八重山商工です。
テレビ業界に勤める友人が取材したらしく、話をいろいろ
聞いてはいました。
彼らは決して恵まれているとはいえない環境で野球に打ち込んでいます。
めちゃくちゃ長時間練習するらしいです。
練習場は脆弱、用具もおんぼろ、決して裕福でない家庭に育った
選手の家庭にとっては莫大ともいえる遠征費用がかかる。
都市部の私立高校とは比べるべくもない環境です。
今の私立高校はすごいですよ。
栄養士、トレーナー、メディカルスタッフなどがいて、
専用練習場はもちろん、専用のトレーニングルームも完備。
授業は午前中だけで、寮生活するから、夜まで練習できる。
土日は全部試合です。2チームを招いて、巴戦をしますから
2日間で4試合をするんです。1年に140試合ぐらいやります。
しかも3軍まであって、2軍は別の場所で試合をすることもあります。
今はもはや1年生はずっと球拾いなんてことはやってません。
少子化で生き残りをかけたい私立校は、高校野球で注目されることが
宣伝するてっとり早い道と考えているのかもしれません。
八重山商工がそういうチームと戦って、
勝っていることがまず驚きです。
でもおもしろいのはここから。
石垣島にある八重山商工の選手たちは、独特の島人器質みたいなのが
あるらしく、とてものんびりしているらしいんです。
練習で「集合」がかかっても、タラタラ歩いて集まる。
そういうところがとてもギャップがあっていいではないですか。
春の選抜大会に出場してから、有形無形の支援を受けたようですが、
「応援してくれる人たちのために勝ちたい」というのが
選手の口から聞こえてきます。なんとも泣かせます。
それぞれの思いが複雑に交差する甲子園という舞台。
あとちょっとでその熱戦の火ぶたが切って落とされます。