250円の牛丼を食す

250円という金額を、人はいったいどのような捉え方を
するのだろうか。
「あ、結構いろんなもの買えんじゃん」と思う人もいれば、
「うわ〜、250円じゃあ今の時代、牛丼も食えないよ」と
いう人もいるかもしれない。
だが、食えるのだ。
ある牛丼屋に立ち入った。「牛丼250円」ののぼりが出ている。
気になってはいたが、おそろしくては入れなかったのだが、
今回、私は「一人決死隊」となって突撃を試みた。
カウンターのみ20〜25席ぐらいのこぢんまりとした店。
席に座り、すかさず「牛丼」と注文する。
怖そうなおねえさんが、「なぁみぃ(並)」とけだるそうに厨房に伝える。
フロアのおねえさんは2人いて、1人は日本人、1人は韓国あるいは
中国の方のようであった。
15秒ほどで出てきた。
肉と、タマネギの代わりに薄く切って煮込んだ豆腐が2切れ入っている。
食べ進めていくが、肉はそうでもないのに、なぜか異様に脂っこい。
なぜか牛の味がしない。あれは牛のどこの肉なのだろうか。
牛のアキレス腱の部分かもしれない。
牛のこめかみの部分かもしれない。
いずれにせよ、250円だなあという味であった。
あとでちょっと胸がムカムカした。脂のせいだ。
この店はお茶も出てくるが、お茶というよりは
「茶色の水」と表現するほうが正しい。
ほのかに茶色くなっているだけで、お茶の味はしない。
出がらしにもほどがあるぞ!
と思うが、そこは250円。
他にもカツどん350円。開花丼(牛肉を卵でとじたヤツね)もある。
食べたい人は場所をお教えしますので、ご連絡下さい。
こういう冒険をする人を冒険家とは呼ばないのだろうか。
「なぜ牛丼を食べるのか」「そこに牛丼があるからだ」