魅惑のカツ丼カレー

人は目を見開いていても、関心を持っていなければ
見える情報も見えないまま通り過ぎてしまう。
最寄り駅から会社に向かう途中に立ち食いそば屋さんがある。
その店先にあった、「カツ丼カレー、はじめました」の文字。
B級グルメの私の目に飛び込んできたこの文字に、
わが目を疑った。
「そんなことをやっていいのか!?」
カツ丼とカレーといえば、和食と洋食をミックスさせた、
これぞ、近代日本の食卓! とでもいえる代表的なメニューだ。
それをこともあろうに、一緒にしてしまったというのだ。
そんなことでまとまりが生まれるのか。
MLBでいえば、イチロー松井秀喜が同じチームにいるようなもの。
歴史上の人物でいえば、織田信長坂本龍馬
ミッキーマウスくまのプーさんが共演するようなものだ。
おそるおそる食券を購入(510円)。
出てきたのは、カツ丼にカレーのルーをかけたものだった。
予想どおりの展開だった。
カツ丼のダシの味と、カレーは合うのか!?
それが私の最大の関心事だった。
ところが、食べているうちにカレーうどんを思い出した。
ダシの味とカレーの味はすでにカレーうどんで立証済みである。
カツカレーが玉子でとじられているといおうか、
親子丼とカツカレーを足したものといおうか、
まさに、カツ丼とカレーを足したもの(そのまま)なのである。
カツ丼にカレーをかけた味を想像してみてください。
そう、それです! その味です!
その味が口の中をかけめぐるのです。
ところが、しばらくすると、何を食べているのかわからなくなってきた。
最後には気持ち悪くなってきた。
胃のなかで織田信長の鉄砲隊と坂本龍馬海援隊が、
戦いを繰り広げているのである。
というわけで、カツ丼カレーはもう食べないと思う。