映画『SAYURI』は芸者の紹介映画

半年前に映画館で予告編を見て以来、気になっていた
映画『SAYURI』を見に行った。
結果から言うと、おもしろかった、『ラストサムライ』よりは。
ただ、ちょっと各エピソードのインパクトが弱かったかな。
センセーショナルなのに慣れきっているからか、
どうしても薄い印象になってしまう。
「SAYURI」という、ある芸者の半生を描いたヒューマン
ドラマというよりは、「芸者とは何か」という、「芸者紹介映画」
になってしまっている気がした。
チャン・ツイィーは好きな俳優さんなのだけど、華やか過ぎて
不遇の過去を持っている主人公の「陰」の部分があまり感じられなかった。
それはSAYURIの子ども時代を演じた、若い俳優さんもそうだった。
この映画、女性の場合は、芸者のメイクとか着物とか舞踊に
注目してみる見方もあるかもしれませんね。
芸者遊びには「芸者をあげる」という言葉があるのだそうです。
お座敷で遊ぶだけでなく、「あげる」んです。
芸者をあげるには、今でも途方もないお金がかかるのだそうだ。
「あげる」ことでいわゆる「だんさん(だんなさん)」になるのだ。
それが「水揚げ」の「揚げ」だったことを今回初めて気づいた。
時代に翻弄されるSAYURIの人生は、とても限定された選択肢
しかなかった当時の女性の、ひとつの生き方なのかもしれない。
時代は変わったのだなあと素朴な感想を持ったのでした。