映画『哀愁』とその時代

哀愁 movie

優れた邦題の例としてよく出されるこの映画は、
『ウォータールー橋』が原題です。
このウォータルー橋で出会った軍人と踊り子の恋の話。
ビビアン・リーロバート・テイラーという有名な俳優が
出ているし、映画好きにはよく知られた作品です。
ビビアン・リーは『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ
演じた女優としても有名ですね。
戦争中の時代の話なので、ただ生きることが困難であった時代に、
女性の生き方としてもかなり選択肢は狭かったのだろうと思うと、
やるせない気分になってくる。
ただ、感じたのはどの時代でも親と子の世代には
感覚のギャップがあって、世間体などを考えるあまり、
結婚について難しい問題が出てくることもあるということだ。
今の時代で考えれば、この映画のラストを見ながら、
「そこまで思いつめることはないんじゃないか」と
思うけれど、その当時の感覚からすれば、悲劇を選ぶのも
相応の選択だったのかもしれないと思う。
清々しかったのは、主人公マイラを
ずっと助ける女友達のキティの友情だった。
友だちの幸福を妬まず、不幸を自分のことのように悲しむような
人はなかなかいない。
悲しい結末の中でほっとできる場面でした。