ツバメ、巣立つ

今朝、ぼくのアパートの部屋の玄関の真上に巣をつくっていた
ツバメのヒナたち5羽が巣立っていった。
この数ヶ月間、きゃつらの、日に日に大きくなっていく姿を
わが子のように見届けてきた。
家に帰ってきたときや、家を出るとき、きゃつらは巣から顔を
のぞかせて、ぼくの顔をじっと見つめていた。
きゃつらが換気扇の排気口の上に巣をつくったので、
換気扇を回すのをためらったりしたこともあった。
そのようにして、気にかけてやっていたのに、
きゃつらは「さよなら」の一言も残さずにいなくなった。
最後に「ほな、行くわ」とか、「お世話になりました」とか言って、
菓子折りの一つを持参してくれてもいいではないか。
ツバメのヒナたちが育つスピードはものすごく早かった。
あっという間にたくましくなり、どこかへ飛んでいった。
これから羽ばたく方法を覚え、狩りの方法を覚え、
外敵から身を守る方法を覚えて、南の国に行き、また日本にくる
そのときには、またここに戻ってきてほしい。
いつでもこのアパートの軒先を貸すから。