差別とは何か

こういう問題が家庭にも入りこんできたかと思う。

家庭内の軽い話題の中で、

「女の人なのに背が高いんだね」

と私が言ったときのことである。

「お父さん、女の人だからって背が低いと決めつけたらだめよ」

「なのにっていっちゃだめだよ」

というのである。

一般的に言って女性より男性のほうが背が高いのは

誰もが認める事実である。

そんなことは平均身長のデータを持ち出すまでもないこと。

家人らは、私が身長が低いことを蔑んでいるように聞こえたのだろう。

だが、身長が低いことは良いことでも悪いことでもなければ、

優れていることでも劣っていることでもない。

単なる違いであり、特徴である。

これが差別になるのは、権利を侵害したときや、

優劣として述べたときだ。

たとえば、「低身長の人はこの大学に入れません」となったら

権利を侵害しているので差別になる。

また、「低身長の人はダメ人間だ」などと劣っている人間として

認定したなら、これもまた明確な差別だ。

差別になるかどうかは、権利を侵害したときや、優劣と結びつけて

他人に不快な思いをさせたかどうかによる。

これ以外のときは、単に違いや特徴として述べているのであって、

差別にはあたらない。

家人には「低身長は何かと損する」みたいな観念があるから、

私の言ったことが差別的に聞こえたのだろう。

これをわかるように子どもに説明するのは難しいが、

どうにかして伝えていきたいと思う。