世にスローガンというものがある。
2人以上の団体になったときに、メンバーの意識を統一するため
だったり、世の中に問いかけたりするもので、
「こうありたい」、もしくは「こうあるべし」というものを
言葉として表現し、メンバーで共有するものだ。
企業で言えば、企業理念だろう。
最近は自社の企業理念をHPに掲載したり、
冊子をつくって社員に配布したりする。
その内容を朝礼で唱和したりする会社もあるだろう。
最近見たある会社のHPには
「社員の心理的安全性を担保し…」などと書かれていた。
こうしたスローガンは裏返せば、「欠けているもの」と見ることができる。
「心理的安全性」というのは昨今、ビジネスの間で囁かれている
キーワードになっている。
裏返せば、いかに企業の「心理的安全性」が失われていたかということ。
考えてみれば、社員は安全安心が担保されていてこそ、
社業に励もうという気になるのであって、
オフィスが物理的、精神的に危険であれば、それが気になってしまって
仕事ではなくなるはずだ。
いわば、当たり前だったものが失われたから
今になってあえてスローガンにしなければならなくなった。
「家庭の平和のためには夫婦仲良く」なんて、
当たり前のことを言わなくてはいけなくなったのは、
そうでない家庭が多いから。
「ワンチーム」が流行語になるのは、そうでない組織が多いから。
そのようにして見て行くと、時代の流れを掴むことができる。