憧れなど皆無

前回の東京五輪が行われた時期以降、

農村から都市部への人口流入に拍車がかかった。

その背景には「都会へのあこがれ」「濃厚な人間関係からの脱出」

という2つの理由があった。

前者はポジティブな理由であったが、後者はネガティブだった。

私の場合、岡山から東京に来たが、どっちも理由じゃない。

都会への憧れは、高校時代に修学旅行で東京を訪れたにもかかわらず、

まったくといっていいほどなかった。

人間関係も田舎が濃厚で息苦しいという感じはなかった。

家業を継がなければいけない家柄でもなかったし、

実家は郊外にあったから近所の好奇の目とも無縁だった。

理由はひとつ。

やりたい仕事に着ける可能性が、首都圏のほうが段違いに高かった

たったこれだけの理由だ。

都会への憧れなどないから、暮らすのは東京の端っこで十分。

どうせならもう一か所ぐらい別の街に住んでもいいかなと

思わないではない。