映画『バンカー77』 

「バンカー77」は、サーフィンの実力を有しながら、相続で

巨万の富を得た結果、人生を狂わせていくひとりの青年の物語だ。

こういう人物がいたことも知らなければ、サーフィンにも

まったく興味がないが、気まぐれに見てみた。

継父が『風と共に去りぬ』の主演、クラーク・ゲーブルという

俳優で、砂糖で財を成したバンカー家の跡継ぎでもあるのが

バンカー青年。

映像を見るからにサーフィンはそうとうな腕前なのだが、

21歳ぐらいのときに相続で巨万の富を得てから、

おかしくなっていく。

こういう億万長者の奇行は、だいたいドラックがらみだ。

自分を見失って、最後はヘロイン中毒で死ぬ。

作中、コメントする人がみんな薄ら笑い。

「おかしなやつだったさ」という感じ。

だけど、サーフィン関係の人はかなり評価しているようだ。

最後、バンカーをリスペクトするひとりのサーファーがいう。

「この旅で誰でもできることがある

それはオリジナルであることだ。

自分らしくいることを忘れず、それにこだわること。

彼は自分を失ったせいで死んでしまった。

こうあるべきだと思う自分や他人の望む自分になろうとして――」

何者かになろうとしてもがくことは青年期には重要。

もがいているときには挫折はつきものだけど、

そこでドラッグに向かってしまったのが不幸だった。

挫折を正のエネルギーに転換できたら、

もう少し違った人生になったのではないか。

ここでいう「オリジナル」とは、「独自の」ぐらいの意味だろう。

他人からの評価ではなく、自分のこだわりに対してチャレンジし、

納得できたなら、唯一無二の存在になれたのにと思う。