自己愛と卑下

異なる分野の人が、同じテーマのことを扱って、
まったく正反対のことを言っていることがある。
たとえば、最近では、
「いまの子は自己肯定感が希薄で、自分を卑下している」
といった専門家がいたと思えば、別の専門家は
「自愛感情が大きくなりすぎていて、自分は何にでもなれる
と思っている」
といっている。
どちらもそれなりに納得できるものがある。
たぶん、バランスがよくなくて、どっちかに偏りすぎている
ということなのだろうと思っている。
自分を卑下してもダメだし、無限の可能性のある存在と思っても
挫折したときの落差が大きい。
肥大した自己愛と、自分を卑下する心の間がちょうどいい。
このバランス感覚はけっこう重要だ。
「ありのまま」もいいが、それだけでは世間は渡っていかれない。
かといって、自分を押し殺しているだけではストレスがたまる。
適度に自分を出していくということが必要だ。
そういう人間関係を、昔は自然と学べたものだが、
いまはできなくなっているということなのか。
仕事でも部活動でもチームでひとつのことをやり遂げるという
経験をすることが、その人にとっての財産となる。
居心地のいい家から出て、人と交わることが必要だね。