校庭芝生化への長い道のり9 

おやじの会の人たちから、校庭芝生に関して

賛同してくれている人からこんな忠告もあった。

「私はおやじの会で学んだことがある。

今までは部下に対して、なんでできないんだ、

といって叱っていた。でも、おやじの会で、

できないのはどうしてか、できるようにするにはどうするかを

考えることができるようになった」

というのだ。

私に対するアドバイスだとはわかったが、

そのうえで、私にどうしろというのかまでは

読み取れなかった。

つらつら考えてわかったのはこういうことだ。

「『なぜわかってくれないの?』ではなくて、

わかってもらうために、相手の立場に立って説明せよ」

ということが言いたかったのだろうと思った。

そこで、私は校庭芝生化のメリットを「そこから?」という

ぐらいまで、一歩戻って説明しようと考えた。

芝生の上に寝転がったり、走り回って遊んだ人にとっては、

芝生は気持ちいいもので、理由なくいいものであるとわかる。

けれど、そうした体験をしていない人にとっては、

単なる雑草であり、虫がいるかもしれないし、

たいして衛生的でもないものである。

そのことは頭ではわかっていたが、その人の立場に立った

説明ができていなかった。

そこで、提案書にはこう書いた。

「運動能力の向上が見込める。

校庭を芝生化した学校の児童の50m走のタイムがよくなることが

わかっている(素質の開花)。

それによって児童の自信、自己肯定にもつながる」

「寝転んでリラックスすることでストレス解消となり、

他校ではいじめ件数の減少が報告されている例もある」

ストレス解消といじめの関係については、

因果関係がはっきりしない、怪しい論説ではあるが、

なんとなく、そんなこともありそうな気がしてくる。

因果関係とはいえないが、

相関関係としてデータは出ていることは事実なのだ。

こうした説明は、前の説明と比べて、少しは理解してもらいやすく

なっているのではないかと思う。